野球関連トピックス

プロ野球の開幕延期でフォーカスされた「野球協約」を知る

こんにちは。

今日は「野球協約」の話をします。

その野球協約とは、日本のプロ野球を組織する日本野球機構(NPB)が定める「日本プロフェッショナル野球協約」です。

コロナウイルスの影響により2020年シーズンの開幕が依然として見えない中、野球関連のニュースや記事に「野球協約」という言葉を頻繁に見かけるようになりました。

それまでは選手の契約や不祥事に関する時にたまに耳にする言葉でしたが、現在の状況下でシーズンの日程短縮を余儀なくされる中、「野球協約」に鑑みて様々な判断を迫られる事項が増えています。

もちろん野球協約の内容は膨大なものですが、今回の開幕延期とともにフォーカスされた、野球ファンとしてはぜひ知っておきたい条項をいくつか紹介したいと思います。

野球協約を知ることで、試合だけではなくプロ野球全体をより深く知ることができると思います。

目次

1シーズンの試合は最低120試合

これが今回の開幕延期で最も懸念されクローズアップされた規約です。

◆第17章 試合

 ▽第159条(ホーム・ゲームの最低数) 
球団が行う年度連盟選手権試合のホーム・ゲームの数は、60試合を最低数とする。

現在の野球協約では、1シーズンのうち各チーム最低60試合はホームゲームを実施しないといけない規則になっています。つまり計120試合ですね。

「無観客でも開幕を」という意見の理由の一つには上記があるからだと思われます。

仮に半分の70試合でシーズンを行ったとしても選手やチームの成績は中途半端になり評価や査定に困りますね。。

また、各チームのホームゲームは最低60試合なので、ドーム球場を本拠地とするチームのホームゲームを増やして天候による中止をなくそう、というのはダメなのです。

12月に入っての試合は協約上NG

開幕延期に伴い、それでは遅れた分を12月の寒い時期に後ろ倒して試合を行えるのか?という疑問も出てきます。この点については次のように規定されています。

◆第17章 試合

 ▽第173条 (ポスト・シーズン)
球団又は選手は、毎年12月1日から翌年1月31日までの期間においては、いかなる野球試合又は合同練習あるいは野球指導も行うことはできない。ただし、コミッショナーが特に許可した場合はこの限りでない。なお、選手が球団の命令に基づかず自由意志によって基礎練習を行うことを妨げない。

つまり、選手の契約は毎年2月1日から11月30日までと定められているのです。

そのため日本シリーズも含めて11月中に全試合日程を終了しないといけないのです。
春のキャンプインが2月1日スタートなのは、1月中は球団の拘束もコーチの指導もNGだからです。シーズン後の秋季キャンプも契約期間の11月中に実施しているのはこのためです。

もっともコミッショナーの特別な許可があれば、例外的に12月1日以降も試合を行うことはできるため、第159条に基づいて120試合の消化はカレンダー的には可能です。
しかし来シーズンは延期したオリンピック開催で再び前倒し日程となるため現実的ではないでしょう。

試合数削減でも契約した年棒は保証

一番気になるのが年棒ですね。
試合数が半分になって球団の収入も半分になったからといって、選手の年棒を半減させることはできるのでしょうか?

◆第8章 選手契約

 ▽第45条 (統一契約書)
球団と選手との間に締結される選手契約条項は、統一様式契約書(以下「統一契約書」という。)による。ただし、球団と監督並びにコーチとの間の契約条項は、これらが選手を兼ねる場合を除き、統一契約書によらない。

選手は上記の統一契約書をもって球団と来季の契約を行います。
この統一契約書には、公式戦の数の変動で契約内容が変わることを規定する文言はありません。そのため試合数がいくら削減されても選手の年棒に影響はないのです。

しかし、メジャーリーグは事情が違います。

2020年3月末にMLB機構と選手会の間で行われた取り決めでは、試合が短縮された場合は162試合からの割合で年俸を支払うことで合意しています。
メジャーリーグの1シーズンは162試合ですが、仮に半分の81試合しか開催されないとなると年俸も出来高も半額になります。
選手会との間で決まったのであれば、選手にとっても反論の余地なしですね。

ですが、これが日本でも議論されるとなると大きな波紋を呼びそうです。

2020年はFA条件の一軍登録日数削減も検討

続いて、一流選手の勲章であり権利でもあるFA権の規約について説明します。
FAについては野球協約の中での明記はなく、「フリーエージェント規約」という別の規約が存在します。

◆フリーエージェント規約

 ▽第2条 (資格取得条件)
1 選手は,入団して初めて出場選手登録された後,その日数がセントラル野球連盟及びパシフィック野球連盟の同じ年度連盟選手権試合期間中(以下「シーズン」という。)に145日を満たし,これが8シーズンに達したときに,国内FAとなる資格(以下「国内FA資格」という。)を取得する。(一部抜粋)

FA権を獲得する条件の「シーズン」とは1シーズン145日の出場選手登録(一軍)が条件となります。

1シーズン145日に満たない場合は、他シーズンの登録日を合算し、145日になった場合は1シーズンとしてカウントされます。
つまり登録日「70日」と「80日」のシーズンがあった場合は、2シーズン合算して150日になるので1シーズン分クリアです。
なんだか学校で単位を取っているみたいですね。

2020年シーズンでは山田哲人選手(ヤクルト)、西川遥輝選手(日本ハム)、大野雄大投手(中日)などが取得見込みです。

ですが規約の通り145日=5ヵ月近くもシーズンが消化できる見込みは立っていません。
そのため2020年限りの特例措置として出場選手登録(一軍)145日の短縮が検討される様子です。

PCR検査での離脱は陰性なら10日以内の復帰も可能に!?

さて、この出場選手登録と対になるのが「登録抹消」ですね。
野球ファンの方なら「登録あるところに抹消あり」の侘び寂びをいつも感じていると思います。

◆第11章 選手数の制限

 ▽第85条 (出場選手の異動)
年度連盟選手権試合期間中、出場選手の登録を抹消された選手は、登録の抹消公示の日から試合に出場することが停止され、登録の抹消公示の日を含み10日を経過しなければ、再び出場選手の登録を申請することはできない。

野球ファンなら誰もが感じる、長いようで短く、短いようで長い10日間。
しかし上述のようにFA権取得がかかっている選手であれば、試合日程の削減に加えこの10日間の抹消となれば非常に大きいです。

そのため2020年は、コロナウイルス感染の疑いでPCR検査を受ける場合、出場選手登録を外れても陰性ならば規定の10日間よりも早く復帰でき、さらに抹消期間中も出場選手登録のカウントとみなすなどの「コロナ特例」を協議するようです。

7月末までのトレードの期限、2020年はどうなる?

さて、開幕が延期になると問題となってくるのがトレードです。
トレードの期限については下記のように規定されています。

◆第13章 選手契約の譲渡

 ▽第108条 (譲渡可能期間)
選手契約の譲渡が許される期間は、年度連盟選手権試合シーズン終了の翌日から翌年7月31日までとする。ただし、この協約に基づくウエイバーの請求による選手契約の譲渡に関してはこの限りでない。

シーズン中にトレードを行う理由としては、そのシーズンが始まってもなお戦力として苦しく、二軍からの昇格の目処も立たないポジションを補うため、というのが大きいです。
また選手にとっても、トレードをされるなら1日でも早い方が良いです。

しかし2020年は7月末の時点でまともに試合ができているとは現時点では考えにくくいです。
そのためコロナ特例としてこの7月31日という期限も延期を協議するようです。

※個人的には、たとえトレードを行っても、まともに試合に出られる日程が組めるとは思えないので、2020年はトレード禁止の方がいいような気がします。

開幕延期となれば戦力外通告にも影響あり

野球ファンとしてもっとも切ないのは戦力外通告です。
自分の応援している選手が戦力外になった時の切なさは、野球ファンであれば誰しもが経験しているでしょう。

まず、翌シーズンの契約選手に関しては以下のように規定されています。

◆第9章 保留選手

 ▽第66条 (保留の手続)
1 球団は毎年11月30日以前に、コミッショナーへその年度の支配下選手のうち次年度選手契約締結の権利を保留する選手(以下、「契約保留選手」という。)、任意引退選手、制限選手、資格停止選手、失格選手を全保留選手とし、全保留選手名簿を提出するものとする。
2 契約保留選手の数は70名を超えてはならない。

 ▽第69条 (保留されない選手)
支配下選手が契約保留選手名簿に記載されないとき、その選手契約は無条件解除されたものと見做され、コミッショナーが12月2日に自由契約選手として公示する。

つまり来シーズンも契約する選手を最大70名までに絞り、11月30日以前に提出しないといけません。

しかし、10月末にはドラフト会議があり、各チームとも5〜10名程度を指名します。
また外国人選手やFA選手などの補強、加えて来季に入っても新戦力を獲得する余地を残すことを考慮すると、毎年各チーム10名程度が戦力外となります。

この第69条にある「保留されない選手」=戦力外選手の通告期間については野球協約での記載がないのですが、下記の通り定められています。

通達期間

第1次通告:10月1日からクライマックスシリーズ開幕前日まで。
第2次通告:クライマックスシリーズ全日程終了翌日から日本シリーズ終了翌日まで。ただし日本シリーズ出場チームは日本シリーズ終了の5日後まで。

例年であればクライマックスシリーズは10月中に行われますが、2020年は10月にレギュラーシーズン自体が終わらず、第2次通告も11月30日までに行えない可能性もあるため、これも特例として延期の協議がされるようです。


・・・・・・・


いかがでしたか?

協約と聞くと難しく堅苦しいイメージですが、その内容を見てみると野球ファンにとっては興味深いですね。

今回は開幕延期に伴い懸念される条項にフォーカスしましたが、機会があれば別にスポットを当てた野球協約の内容についても触れたいと思います。

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